一人社長の法人・源泉徴収なしでも年末調整は必要?確定申告との関係は?|考え方と必要な手続

※この記事は税理士の監修を受けています。

11月頃、当社(社長一人の合同会社)にも税務署から「年末調整をするように」との連絡がきました。

目次

年末調整とは何か?確定申告との違いは?

そもそも・・・年末調整とは何でしょうか?納税額にかかわることのようですが、確定申告とは何が違うのでしょうか?

いつもお世話になっているfreeeのウェブサイトにわかりやすい対比表がありました。

freee 「年末調整とは?概要・目的・手順から必要書類までをわかりやすく解説」より引用

なるほど・・・・と思う一方で、下記の疑問が出てきます。

当社は社長が一人だけの会社。税額確定も控除も社長の確定申告だけではダメなの?

当社は源泉徴収していない※ので、源泉額と実際の税額との調整は不要なのでは?

※参考:国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和 5 年分)」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2022/data/01-07.pdf

源泉徴収なし・社長一人の会社での年末調整手続

一般的な年末調整手続と当社の状況へのあてはめ

税務署から来たリーフレットによれば、「年末調整は下記のスケジュールで行うべし」とのことです。 

国税庁「令和5年度分 年末調整についてのお知らせ」より引用

これを当社(源泉徴収なし・社長一人の会社)に当てはめると下記のとおりになります。

社長の税額の調整は確定申告で行うが、会社として必要な当局への届出(下記④)はこの時点で実施する、という考え方です。

項目対応
各種申告書の配布・受理(各種控除額の確認)従業員がいないので不要:社長=自分の各種控除も確定申告で行う
年調年税額の計算・過不足額の計算と精算「源泉徴収簿」作成により算出:当社の場合ゼロであることはわかっているが念のため。提出は不要 
当局提供の源泉徴収簿フォーマットに入力して計算
過納額の還付、不足額の徴収・納付   毎月(納期特例承認を受けている場合は年2回)提出している「所得税徴収高計算書(源泉所得税納付書)」の提出でOK 
④源泉徴収票等の作成・提出下記を作成・提出:当局がお金の流れを把握するため作成・提出が必要
・源泉徴収票:確定申告のためにも必要
・給与支払報告書
・法定調書合計表
・報酬、料金、契約金および賞金の支払調書などの支払調書

以上より、積極的に行わなければならないのは①~④のうち、下記手続のみとなります。

過納額の還付、不足額の徴収・納付

源泉徴収票等の作成・提出 

なお、上記③はこれまでも行っている「所得税徴収高計算書」(源泉所得税納付書)↓↓ の提出を指しています。

ご参考
e-taxで「源泉所得税納付書」を提出する 法人は「源泉所得税納付書」(所得税徴収高計算書)を少なくとも年2回提出する必要があります。(当社は年2回) そして当社は給与を最低限に抑えているため、実際に納付する金額はゼロ円です。それでも納付書の提出は必要です。 オンライン(e-tax)で提出すると簡単ですぐに終わります

つまり結局年末調整手続として新たに行わなければならないのは、④源泉徴収票等の作成・提出のみとなります。

結論:「年末調整」として必要な手続

以上をまとめると、当社のような一人法人・源泉徴収なしの会社が、「年末調整」として必要な手続きは下記のとおりとなります。

令和6年(2024年)1月22日までに提出すべき書類

所得税徴収高計算書 (税務署)

ご参考
e-taxで「源泉所得税納付書」を提出する 法人は「源泉所得税納付書」(所得税徴収高計算書)を少なくとも年2回提出する必要があります。(当社は年2回) そして当社は給与を最低限に抑えているため、実際に納付する金額はゼロ円です。それでも納付書の提出は必要です。 オンライン(e-tax)で提出すると簡単ですぐに終わります
令和6年(2024年)1月31日までに提出すべき書類

 源泉徴収票 (税務署)

 給与支払報告書 (市町村)

 法定調書合計表 (税務署)

 報酬、料金、契約金および賞金の支払調書などの支払調書(税務署)

これらはすべてWeb上の手続(e-tax、eLTAX)にて作成・提出可能です。

※提出が終わったら改めてe-tax、eLTAXでの手続について記事を書きたいと思います。

提出しました。実際の手続についての記事はこちらです ↓↓

ご参考
一人社長・源泉徴収なしの会社の年末調整手続|e-taxとeLTAXでの必要書類の作成・提出方法 別記事「一人社長の法人・源泉徴収なしでも年末調整は必要?」で解説した年末調整手続を具体的に解説しています。市町村向けの書類(「源泉徴収票」「給与支払報告書」「法定調書合計表」)についてはeLTAXという専用のオンラインシステムがあるので、eLTAXを利用した手続を解説しています。
記事監修

税理士として20年以上の経験があり、会社設立・企業再生、各種税務申告、相続・事業承継を得意とする。中小企業や個人の案件を数多く経験。リソースが限られている状況にも配慮したアドバイスやサポートを行っている。

◆税理士法人加勢総合事務所ウェブサイト https://kase-keiei.com

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